新一と蘭の交際スタートに伴い、ファンの熱視線が一身に注がれることになったのが西の高校生探偵・服部平次と遠山和葉の関係です。平次の行動原理は、長らく「新一がロンドンという絶好の舞台で告白したことへの対抗心」に縛られていました。
戎橋(えびすばし)での「オレの和葉に何さらしとんのじゃ」(原作83巻)、アニメオリジナルや映画でも繰り返された告白未遂劇は、読者の間でもはや「お約束のコント」として定着しつつありました。銀座のイルミネーション、兵庫の夜景スポットなど、平次はことごとく「新一のビッグベンを超える場所」を求め続けた結果、怪獣映画の撮影隊に阻まれたり、自衛隊の潜水艦浮上に遮られたりと不運に見舞われます。
しかし、劇場版第27作『名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)』および原作コミックス105巻前後のエピソードにおいて、この停滞劇は劇的な結末を迎えます。函館の夜景を望む極限状況の中、平次が積み重ねてきた意地を捨てて放った魂の叫びは、二人の関係を決定的に塗り替える歴史的マイルストーンとなりました。「場所の格式」ではなく「目の前の相手をどれだけ失いたくないか」という本質に平次が気づいた瞬間であり、ファンが長年待ち望んだ答えがそこに提示されたのです。