脊髄性筋萎縮症の根本的な原因は、第5番染色体に存在する「SMN1(Survival Motor Neuron 1)」遺伝子の変異や欠失にあります。この遺伝子が正常に働かないと、筋肉を動かす指令を伝える脊髄前角の運動ニューロンに必要なタンパク質が不足し、神経細胞が徐々に衰弱・消失してしまいます。
その結果、全身の筋力低下や筋萎縮が進行します。特に親が異変を感じる初期症状として多く報告されるのが、抱き上げた際の「フロッピーインファント(ぐにゃぐにゃ児)」と呼ばれる極端な体の柔らかさです。首のすわりが著しく遅れる、手足をバタバタと動かす頻度が少ない、母乳やミルクを飲む力が弱い(哺乳力低下)、泣き声が小さいといった兆候が日常の中で現れます。
呼吸のたびにお腹だけが大きく膨らむ「奇異呼吸」や、舌が小刻みに震える症状も特徴的なシグナルです。周囲の発達速度と比べるなかで違和感を抱き、小児科を受診した段階で精密検査へと進むケースが後を絶ちません。