「ニューヨーク都市圏の本当の境界線はどこにあるのか」。多くの人が抱くこの疑問に対する答えは、ニューヨーク市の5つの行政区(マンハッタン、ブルックリン、クイーンズ、ブロンクス、スタテンアイランド)の枠組みを大きく超越しています。米国国勢調査局(US Census Bureau)の基準によると、ニューヨークの大都市圏は主に「MSA(大都市統計地域)」と、さらに広域を捉える「CSA(広域都市統計地域)」の2階層で定義されています。
日常的に「トライステートエリア(Tri-State Area)」と呼ばれるニューヨーク広域都市圏は、ニューヨーク州南部のみならず、ハドソン川を挟んだニュージャージー州北部・中部、さらには超富裕層のベッドタウンを抱えるコネチカット州南西部、そしてペンシルベニア州の北東端までを包含します。ニュージャージーとコネチカットの広大な範囲が通勤電車や高速道路網で有機的に直結しており、朝夕には数十万人規模のビジネスパーソンが州境を越えてマンハッタン通勤圏を行き交っています。
この広域圏の陸地面積はおよそ3万平方キロメートルを超え、関東平野全体(約1万7,000平方キロメートル)のほぼ2倍に達します。単一の州政府の枠組みでは捉えきれないため、港湾、橋梁、トンネル、近郊鉄道の多くは「ニューヨーク・ニュージャージー港湾公社(PANYNJ)」などの超党派・州間横断機関によって管理・運営されているのが大きな特徴です。地図上の州境線は、経済活動の実態の前では完全に形骸化していると言えます。