ジムのフリーウエイトエリアで見かける光景がある。15kgや20kgのダンベルを持ち、全身を激しく揺らしながら必死に腕を振るトレーニーたちだ。だが、バイオメカニクスの視点から言えば、これは「肩のトレーニング」ではなく「全身を使った物理的振り子運動」に過ぎない。
三角筋側部は、構造上それほど大きな筋体積を持たない羽状筋・多羽状筋の複合体だ。過度な重さを使用すると、動作の始動時に腰の反り返り(チーティング)が入り、中盤以降は首の横に位置する僧帽筋上部が主働筋として取って代わってしまう。結果として、最も鍛えたい三角筋側部はほとんど仕事をしておらず、ただ首が太くなり、腰と肩を痛めるという最悪のトレードオフが成立する。
現在トッププロや最先端のストレングスコチが推奨するのは、「コントロール可能な軽量〜中重量での高精度なプレシジョン・トレーニング」だ。重量の数字という自己満足を捨て、ターゲット部位に負荷を閉じ込める技術こそが、真の立体美をつくる。