両手の銃から同時に繰り出される弾丸が、敵の包囲網を切り裂く。この美学を世界規模のムーブメントへと昇華させた立役者といえば、香港映画界の巨匠ジョン・ウーに他ならない。1980年代後半、彼が手がけた『男たちの挽歌』は、従来の泥臭い銃撃戦をスタイリッシュな舞踊へと変貌させた。
ロングコートの裾をたなびかせながら、スローモーションの中で放たれる二発の銃声。ジョン・ウーが描いたのは単なる武術の延長ではなく、男たちの絆や背徳感を背負った極上のハードボイルドだった。彼が生み出した独特の演出手法は、瞬く間にハリウッドへと飛び火し、世界のアクション映画の文脈を根本から書き換えていくこととなった。