旧宮内省(現在の宮内庁)の関連業務や、華族議員が集う貴族院において、彼の存在感は異彩を放っていた。表立って論陣を張る政治家たちとは対照的に、水面下での調整作業や皇室関連の儀典整理など、制度の基盤を支える実務において類稀な手腕を発揮したのである。
日本史の大きな曲がり角において、表舞台の公式記録だけでは見えてこない意思決定のプロセスが存在する。彼が残した手帳には、主要閣僚や海外からの賓客との極秘裏な会談内容が淡々と記されていた。国家が激動の渦中にあった時代、秩序を維持するために払われた知られざる努力の痕跡がそこにある。