日本のドラマ史において、衣装がこれほど社会現象となった例は他にない。フジテレビ系列で放送され大ヒットを記録した『HERO』で、木村拓哉演じる主人公の型破りな検事・久利生公平が羽織っていたのが、裏原宿カルチャーの雄「A BATHING APE」(ア・ベイシング・エイプ)のキャメルカラーのレザーダウンジャケットだ。
羊革のシームレスな質感と、独特のボリューム感。スーツ姿が当たり前だった裁判所や検察庁の硬質な世界観に対し、あのアメカジスタイルを持ち込んだ衝撃は今なお語り草である。当時、直営店には徹夜の行列ができ、中古市場でのプレミア価格は留まる所を知らなかった。日本のストリートウェアを世界的なラグジュアリーストリートへと押し上げた瞬間でもあった。