2013年の『ドーナツホール』以降、米津玄師名義でのメジャー活動に専念していたハチが、約3年9ヶ月の沈黙を破って2017年に発表した楽曲が『砂の惑星』です。この曲は、初音ミクの大型イベント『初音ミク マジカルミライ 2017』のオフィシャルテーマソングとして書き下ろされました。
公開直後、歌詞の持つ強烈なメッセージ性がネット上で大きな議論を巻き起こしました。かつて活気に満ちていたボーカロイドコミュニティを「何もない砂漠」と形容し、クリエイターやリスナーが去っていった現状を鋭く風刺した内容として受け取られたためです。
しかし、歌詞を丹念に読み解くと、単なる批判や絶望を描いたものではないことが分かります。終盤に登場する「砂漠に林檎の木を植えよう」というフレーズや「風が吹き晒すなら種も撒かれない」という言葉には、かつて自分が育った場所に恩返しをしつつ、「次の世代の表現者たちよ、この場所で新しい芽を育ててくれ」という強い鼓舞とバトンパスの意志が込められていました。
結果として『砂の惑星』はシーンに大きな刺激を与え、新たなボカロPたちの闘争心に火をつける起爆剤となりました。