松山の街を歩けば、誰もが一度はあの巨大な建物を見上げることになる。伊予鉄道のターミナルに直結した圧倒的な利便性は、長年にわたり他店の追随を許さない最大の強みだった。しかし、2020年代半ばを境に、同店が打ち出したのは単なる物販の充実にとどまらない体験型インフラへのシフトだ。
フロアを歩くと、従来のカチッとした百科事典的な売場構成は姿を消している。代わりに目に入るのは、愛媛の伝統工芸品と現代デザインが融合したポップアップスペースや、地元の若手クリエイターが手掛けるライフスタイルショップだ。時代の風を敏感に察知し、若年層からシニア層までを引きつける空間デザインへと洗練された。