SNSやネット掲示板を観察すると、夜間の先物急落時に必ず噴出するのが、恐怖に駆られた悲観論と狼狽の声です。深夜にスマートフォンの証券アプリを開き、マイナス数百円の急落チャートを目撃した個人投資家は、強い認知的不協和に苛まれます。
「夜中に見て眠れなくなった」「明日の朝イチで保有株を全部投げるしかないのか」「CMEが真っ青(下落)で絶望しかない」。こうしたネットの反応投資家心理の背景には、行動経済学でいう「プロスペクト理論(損失回避バイアス)」が強く作用しています。人間は同額の利益を得る喜びよりも、損失を被る苦痛を約2倍から2.5倍強く感じるとされ、夜間の暗闇の中で進む資産減少の恐怖は、日中の取引時間よりも過度なパニックを生みやすい傾向があります。
さらに、金融市場特有の「情報の非対称性」が不安に拍車をかけます。大口機関投資家が保有現物株の価格下落を相殺するために先物をヘッジショートしている場面であるにもかかわらず、事情を知らない個人投資家が「世界恐慌の前触れではないか」と勘違いし、翌朝の寄り付きで最も不利な安値で現物を投げ売りしてしまう現象が繰り返されています。