実質的な絶縁生活に入った後も、知っておくべき法的な「地雷」が2つ残されています。それが親族間の扶養義務と相続における遺留分です。
1. 扶養照会は拒絶できるのか
生活が困窮して自分が生活保護を申請した際、あるいは将来親が困窮して保護を申請した際、福祉事務所から親族へ「援助できないか」と通知が届くのが扶養照会です。現行の民法877条1項には直系血族間の扶養義務が定められていますが、これは「余力があれば助ける」程度の緩やかな義務(生活扶助義務)に過ぎず、強制力はありません。
厚生労働省の保護課長通知により、長期間にわたり音信不通である場合や、虐待・DV等の被害歴がある場合、扶養照会は行わない運用が明確化されています。万が一照会通知が届いた場合でも、「過去の虐待により関係が破綻しており、金銭的・精神的援助は一切不可能」と明記して返送すれば、それ以上の強制を課される法的根拠はありません。
2. 親の死と相続問題・遺留分
親が死亡した際、法的な親子関係が継続している以上、あなたには第一順位の法定相続権が発生します。もし親が多額の負債や借金を遺して死亡した場合、放置すると債務を背負わされる恐れがあります。これに対抗するには、相続の開始を知った時から3か月以内に家庭裁判所で「相続放棄」の申述を行わなければなりません。
逆に、毒親側が「財産をすべて第三者や別の兄弟に譲る」という遺言書を遺した場合でも、実子には最低限の取り分である遺留分(いりゅうぶん)を請求する権利(遺留分侵害額請求権)が残ります。「毒親の金など1円も要らない」と放棄する道もあれば、過去に搾取された損害賠償として権利を行使して回収する道もあります。いずれにしても、親の死後は家庭裁判所を通じた事務手続きだけで処理を完結させることが可能です。