山陰道を利用する上で、多くの利用者が無意識に陥っている最大の盲点があります。それは、「山陰道の多くは有料高速道路ではなく、国土交通省が管轄する『無料の自動車専用道路』である」という事実です。このインフラ上の区分が、事故時の情報伝達において深刻なタイムラグを生み出しています。
ネット上では「NEXCOのハイウェイ交通情報を見ているのに、山陰道の事故情報が詳しく載っていない」といった混乱の声が頻繁に見られます。NEXCO西日本が管理している一部の有料区間(米子道路や安来道路など)を除き、直轄高速区間は各河川国道事務所が管理主体です。そのため、スマートフォン向け大手ナビアプリや高速道路特命情報サービスでは規制状況のステータス変更が反映されるまでに数分から十数分のズレが生じることがあります。
また、「通行止めになったら、すぐに並行する国道9号へ降りれば問題ない」という認識も極めて危険な誤解です。山陰道が遮断された瞬間、大型トレーラーから軽自動車まで全交通量が唯一の平坦動線である国道9号へとなだれ込みます。国道9号は市街地を貫通し、多数の信号交差点が存在するため、流入した交通量を捌ききれずに交差点内立ち往生が発生。結果として、「山陰道で止まるより、国道9号の渋滞に巻き込まれた方が抜け出すのに時間がかかった」という悲劇が日常茶飯事となっています。