『さっちゃんのセクシーカレー』の魅力は、歌詞テキストの強度だけにとどまりません。映像美とコードワークの両面から緻密に計算された構造を持っています。
東佳代監督が手掛けたMVの混沌と純度の高いカオス
公式MVでは、ピンクを基調としたポップな色彩感覚の中に、生肉や過剰なデコレーション、乱雑な部屋が同居する鮮烈なヴィジュアルが展開されます。可愛らしさと不潔さ、無垢と狂気の同居という大森靖子さんのアイコン的ビジュアルが凝縮されており、映像作品単体としても2010年代半ばのジャパニーズ・サブカルチャーの到達点を示しています。
ギタリストを惹きつけるコード進行とアコースティックの緊張感
アコースティックギター1本での弾き語りにおいても、この楽曲は強い存在感を放ちます。基本はFmaj7 → G → Em7 → Am7といったJ-POPの王道進行を踏襲しながらも、テンションコードの挟み込みや、語りかけるような変則的なリズムのタメが随所に配置されています。
カポタストの位置やストロークの強弱によって、少女のささやきのような繊細さから、感情が爆発する絶叫までを1本のギターで表現できる構成になっており、現在も弾き語りカバーに挑戦するミュージシャンが後を絶ちません。