センリツが危険極まりないカキン王国の王位継承戦(ブラックホエール1号)に乗船した真の理由は、第8王子サレサレの護衛任務を通じて「カキン王立樹林にあるとされる闇のソナタの楽譜」に接近することでした。
彼女の究極の目標は、「闇のソナタの全楽譜を探し出し、二度と自分や友人のような犠牲者を出さないようこの世から完全に消滅させること」。そしてその先にあるのが、自身の肉体を呪縛から解放し、元の姿を取り戻すことです。
しかし、王位継承戦においてセンリツは、第10王子カチョウと第11王子フウゲツの悲劇的な脱出劇に巻き込まれ、自らの命を顧みず少女たちを守る決断を下しました。自身の宿願である「元の姿への回帰」よりも、目の前で理不尽に命を奪われようとしている他者を救うことを優先する――その高潔な生き様こそが、センリツというキャラクターの真髄です。
【プロの結論】外見主義への痛烈なアンチテーゼと「真の美」の体現
センリツという人物を通して冨樫義博氏が描いているのは、「過酷な喪失を受け入れた人間が放つ、精神の気高さ」です。現代のビジュアル至上主義・ルッキズムが支配する価値観の中で、異形の外見を持ちながらも誰よりも美しい心音を奏で、周囲の人々を救済していく彼女の姿は、読者に「本質的な美とは何か」を強烈に問いかけます。悲願である楽譜の破棄が達成され、彼女が本来の健やかな身体を取り戻す瞬間を、世界中のファンが待ち望んでいます。