海賊騒動から年月が経過した現在、ソマリア沖の情勢は新たな局面を迎えています。紅海周辺の地政学的リスクの高まりに伴い、一部地域で散発的な船舶拿捕の試みが報告されるケースはあるものの、かつてのように組織化された大規模な海賊ビジネスが復活する兆候は見られません。
支援を受けた現地の人々は、今も漁業を生業として維持しており、沿岸部のコミュニティでは水産業が基幹産業の一つとして定着しつつあります。木村社長が築いた流通ルートは、その後の国際的なサプライチェーンの変動や現地の政情不安により全てが当初の計画通りに稼働し続けているわけではありませんが、「海に出て魚を獲り、市場で売る」という生活様式の転換は確実に次世代へと受け継がれています。
一時の伝説で終わらせず、長期的な地域社会の自立へとつなげていく難しさに直面しながらも、現地に芽生えた「平和な生業の価値」は失われていません。