いま、国内の外食・フードサービス産業において最もダイナミックな地殻変動が起きているジャンルこそ、植物由来の素材だけで芸術的なコースを仕立てる「プラントベース・ガストロノミー」です。「肉や魚の代用品を食べる」という旧来の消極的なイメージは完全に過去のものとなりました。発酵技術を駆使した濃厚なチーズ風味のソース、炭火でじっくりローストした根菜の力強い旨味、海藻のミネラルを重ねた芳醇な出汁。素材そのもののポテンシャルを極限まで引き出す調理法が次々と生み出されています。
1944年に英国で発足したThe Vegan Society(英国ヴィーガン協会)が提唱した「動物を搾取しない生き方」という理念は、現代において最先端のクリエイティビティと融合しました。日本の伝統的な精進料理の知恵と現代フレンチやイタリアンの技法が交差するテーブルでは、ヴィーガンであることを忘れて純粋に味覚の歓喜に浸る人々で連日賑わっています。