現在、芳年の遺産はデジタル空間や映像メディアを通じて、国境や世代を越えて急激に拡散している。Google Arts & Cultureが高解像度で公開する『月百姿』のギガピクセル画像は、筆先の一筋の毛並みや摺りの陰影までも鮮明に可視化し、海外の若手クリエイターやイラストレーターに計り知れないインスピレーションを与え続けている。
さらにNHKオンデマンドをはじめとする歴史・美術ドキュメンタリー番組では、明治の激変期に個人として自立した芸術家像を確立しようとした芳年の人間ドラマが掘り下げられ、大きな反響を呼んでいる。劇画やマンガのルーツとしても再認識されるそのダイナミックなコマ割り的構図と人物描写は、130年以上の時を経た今、デジタルネイティブの感性とダイレクトに共振している。