長年親しまれたビルを解体・建て替えするに至った最大の要因は、築50年を超えたことによる建物の構造的老朽化と防災性能の限界です。1981年以前の旧耐震基準で設計されていた旧ビルは、度重なる耐震補強やメンテナンスを行ってきたものの、頻発する大規模地震への抜本的な対策や、長周期地震動への対応には構造上の制約がありました。
加えて、激変するデジタル編集環境やテレワークの普及、省エネルギー性能の確保といった現代のオフィスニーズに旧来のフロア設計が合致しなくなっていた点も挙げられます。社員や編集者の安全確保はもちろん、貴重な出版原稿・文化的資産を災害から恒久的に守り抜くため、創業110年という節目を越えたタイミングで社屋の全面刷新という英断が下されました。