なぜ原作者のよしながふみ氏は、シロさんをネコ、ケンジをタチという設定にしたのでしょうか。キャラクターの精神構造や過去の恋愛遍歴を紐解くと、極めて必然的かつ説得力のある理由が浮かび上がってきます。
1. シロさんの「男らしい男が好き」という一貫した性的嗜好
シロさんは作中で一貫して「男らしい男性」がタイプであると語っています。元カレたちもがっしりした体格の男性が多く、シロさん自身は外面をストイックに律しているものの、プライベートな性的関係においては「相手に委ねたい」「包まれたい」という受容的な欲求を持っています。社会的責任や老後の生活費、親との関係など、常に強いプレッシャーを抱えて生きるシロさんにとって、ベッドの中で身を任せられる瞬間は、唯一自己防衛の鎧を脱ぎ捨てられる領域でもあります。
2. ケンジの内面に宿る「本物の包容力と雄性」
一方で、ケンジは普段の口調こそ柔らかく乙女チックですが、内面は驚くほどタフで男前です。シロさんが母親や社会の無理解に直面したとき、逃げずに正論と愛情でシロさんを支えるのは常にケンジです。「大好きなシロさんを自分が満足させたい、愛したい」という能動的なエネルギーは非常に強く、普段の甘えん坊な態度と、夜に見せるリード力とのギャップが、二人のパワーバランスを完璧なものにしています。