なぜ今、子供の調理体験がこれほど重要視されているのだろうか。
文部科学省が推進する「生きる力」を育む教育プログラムでも、体験型の食育は思考力や判断力、感謝の心を育てる柱として位置づけられている。また、日本PTA全国協議会の意識調査などにおいても、家庭内での自立的行動や手伝いが子供の精神的成長に与える好影響がたびたび指摘されている。
食材の計量や加熱時間の計算は算数の実践であり、分量調整は科学の実験に他ならない。一連の調理工程を自力でやり遂げたとき、子供の脳内には強固な達成感が刻まれる。失敗しても「次は加熱時間を10秒減らしてみよう」と試行錯誤するプロセスこそが、確かな自立心の芽生えとなる。