大映倒産後の1972年、橋本力に舞い込んだのが、香港ゴールデン・ハーベスト社が製作する『ドラゴン怒りの鉄拳』への出演オファーでした。演じたのは、主人公チェン・チェン(ブルース・リー)と敵対する日本人道場主「鈴木寛(鈴木館長)」です。
当時の香港映画界において、日本人悪役はステレオタイプに描かれがちでしたが、リー本人は橋本の圧倒的な風格と殺陣の鋭さに強い敬意を払っていました。クライマックスの一騎打ちでは、日本刀を構える鈴木館長とヌンチャクを操るリーが激突。橋本のブレのない太刀筋があったからこそ、リーのスピードとアクロバティックな技が完璧な対比として際立ちました。
撮影現場においてブルース・リーは橋本のプロ意識に深く感銘を受け、自ら熱心に技のタイミングを擦り合わせるなど強い信頼関係を築いていました。劇中で見せた冷酷無比な凄みは、海外の映画ファンからも絶賛され、今なお世界中のクンフー映画愛好家から「伝説の日本人ヴィラン」として敬愛されています。