本作が辿ってきた軌跡は、まさに奇跡の連続だった。ワールドプレミアとなったカンヌ国際映画祭の監督週間において、目の肥えた観客たちから熱烈なスタンディングオベーションを受け、見事に観客賞(Prix du Public)を獲得。そこから世界各国の映画祭へと火がつき、各国の映画賞レースを牽引する存在となった。
その勢いはとどまるところを知らず、カナダ代表作品として映画芸術科学アカデミー主催のアカデミー賞国際長編映画賞の有力候補にまで上り詰めた。巨額の製作費を投じたハリウッド大作がひしめく中で、独創的なインディペンデント精神を貫いた本作が世界中の映画人に衝撃を与えた事実は重い。権威ある映画賞がこの野心作に惜しみない賛辞を送ったのは、映画というメディアが持つ根源的な表現力を再発見させてくれたからに他ならない。