原宿といえば、かつてはワンハンドで食べ歩くファストフードの実験場だった。しかし現在の食空間は様相を異にする。アパレルの旗艦店が立ち並ぶメインストリートの裏手、コンクリート打ち放しのビル地下や古民家をリノベーションした隠れ家空間で、本物の肉焼き師たちが静かに火花を散らしている。
アパレル関係者やクリエイターたちが商談や打ち上げに選ぶのは、見せかけの映えではない。噛み締めた瞬間に溢れ出す赤身の旨味と、選び抜かれた塩、そして直火のコントロールだ。カルチャーの発信地だからこそ、妥協を許さない本物志向の客層が店を育て、独自の肉食文化を磨き上げている。