現在の日本国内における需要は、大きく二つの極に分かれている。ひとつは「テクノロジーとの完全な融合」を追求する派だ。Appleの「探す(Find My)」ネットワークに対応したBluetoothトラッカーをスマートに収める専用ポケットや、近距離無線通信(NFC)遮断による盗難防止機能を備えたハイテックモデルが、都市部のビジネスパーソンを中心に絶大な支持を集めている。
もうひとつの極が、「アナログな職人技への回帰」である。便利になればなるほど、人は手触りのある温もりを求めるものだ。ベジタブルタンニン鞣しを施した最高級のイタリアンレザーや、日本の伝統染め技術を用いた馬革など、エイジング(経年変化)を愛でるためのプロダクトが静かなブームとなっている。傷がつき、脂が馴染み、時とともに自分だけの味わいを増していく過程に、消費者はラグジュアリーの本質を見出しているのだ。