単なる強面俳優にとどまらない底知れなさを証明したのが、安藤サクラと共演した『百円の恋』だ。落ちぶれたボクサー・狩野役で見せた自堕落さと不器用な情愛は、観客に強烈な居心地の悪さと共感を同時に突きつけた。
一方で、逮捕によって一時公開が危ぶまれた主演作『台風家族』では、強欲で身勝手でありながら家族のしがらみに苦悩する長男役を熱演。編集や再撮影の議論を経て劇場公開に至った同作は、皮肉にも役者としての彼の並外れた才能を改めて世に知らしめる結果となった。スクリーンの向こう側に広がる生活の匂いをこれほど生々しく立ち上らせる役者は、極めて稀有だった。