メカニカルキーボード選びで最も混同されやすいのが、スタンダードな「赤軸」と「静音赤軸(通称:ピンク軸)」の違いです。どちらもクリック感がなく滑らかに沈み込むリニアスイッチに分類されますが、内部構造には決定的な差が設けられています。
代表格であるCHERRY MX Silent Redの特徴は、ステム(軸パーツ)の上下両端にTPE(熱可塑性エラストマー)素材の静音ダンパーが組み込まれている点にあります。キーを押し込んだ際の「底打ち音」と、指を離してキーが元の位置に戻る際の「跳ね返り音(アップストローク音)」の双方を物理的に吸収する構造です。
通常の赤軸が「スコッ、カチャ」とプラスチック同士の衝突音を響かせるのに対し、静音赤軸は「コトコト」「サクサク」とした極めてマイルドな打鍵音へと変化します。ストローク長は通常の約4.0mmから約3.7mmへとわずかに浅くなり、底打ち時の感触もわずかに柔らかくなりますが、長時間のタイピングにおける指先への衝撃を大幅に和らげる副次効果も備えています。