絶頂を極めていた1985年、黒木瞳は大地真央と運命を共にする形で、宝塚歌劇団を電撃退団する。トップ娘役就任からわずか3年、24歳という若さでの引き際だった。当時の演劇界において、この同時退団は大きな波紋を呼んだ。
なぜ彼女は惜しまれながらも去る道を選んだのか。その真相の根底にあったのは、「大地真央の相手役として自分はトップ娘役になった。大地さんが退団するなら、自分も一緒に去るのが筋である」という、パートナーに対する絶対的な誠実さと覚悟だった。中途半端な延命を拒み、美学を貫いて潔く去る――その潔い幕引きこそが、黒木瞳という表現者の誇り高い本質を象徴していた。