世界最大の書店街として知られる神保町。新刊書店、古書店、出版社、そしてカレー店や喫茶店が密接に絡み合う神保町古書街カルチャーは、一ツ橋の岩波書店を中心軸の一つとして発展してきた。社屋の移転・建て替えという大きな変革は、この特有のエコシステムにどのような影を落とすのだろうか。
地元商店街や長年神保町に通う読者からは、街の空気が変わってしまうのではないかという不安の声も聞かれる。しかし、変化を肯定的に捉える動きも広がっている。新しいビルが誕生することで、一般読者や研究者が気軽に立ち寄れるパブリックスペースや文化展示機能が拡充されれば、神保町の「知の磁力」はむしろ強まる可能性がある。老舗の決断は、古い街並みを維持するだけでなく、次の100年に向けたカルチャーのアップデートを目指す試みなのだ。