演技への追及は勢いを増し、1984年には篠田正浩監督作『瀬戸内少年野球団』に出演。戦後の混乱期を前向きに生きる小学校教師・駒子役を温かみ溢れる包容力で演じ、女優としての円熟味を感じさせた。これが彼女にとって生涯最後の主演映画となった。
私生活においては、長い交際期間を経て作家の伊集院静氏と結婚。没後、伊集院氏の著書や関係者の証言によって明かされた数々の未公開秘話には、撮影現場で見せる無邪気な笑顔や、強いプロ意識の裏にある人間味溢れる素顔が描かれている。病魔の影が忍び寄る中でも芝居の話になると目を輝かせていたというエピソードは、彼女が生粋の表現者であったことを物語っている。