髪の毛を描く際、多くの人が陥る罠が「暗い部分に黒を混ぜただけの影色を置く」という選択です。これでは画面が濁り、立体感どころか重苦しい印象を与えてしまいます。プロは色相(Hue)をわずかにずらし、青みや紫みを帯びた影色を選ぶことで、空気感と奥行きを同時に生み出します。
光の当たり方を捉える基本は、髪を本物の束ではなく「大きな球体」や「筒」として把握することです。細かな毛束を描き込む前に、頭部全体の曲面に沿った大まかな明暗グラデーションを配置します。このベース作りこそが、吸い込まれるようなツヤ感を生み出す極意です。
さらに影の輪郭にわずかな鮮やかさ(彩度)を残す「きわ」の処理を施すことで、髪の質感が驚くほど柔らかく仕上がります。明暗の境目にほんのり温かみのある色を挿すテクニックは、プロがこっそり使う画面づくりの裏技と言えます。