目元にできる白いポツポツを「単なる脂肪の塊」と一括りに捉えるケースが見受けられますが、病理学的な実態は複数の疾患に分かれます。正確な対処を行うためには、それぞれの発生機序を把握することが不可欠です。
臨床現場で最も頻繁に診断されるのが稗粒腫(はいりゅうしゅ/ひりゅうしゅ)です。皮膚の浅い層(表皮直下)に生じる直径1〜2mm程度の球状の良性腫瘍で、中身は脂肪ではなく「ケラチン(角質)」が濃縮された塊です。毛穴の奥や汗腺の出口が何らかの理由で塞がり、剥がれ落ちるはずの角質が袋状に閉じ込められることで形成されます。触れるとしっかりとした硬さがあり、白〜黄白色の明確な粒として視認できます。
一方、30代以降の女性に多く見られるのが汗管腫(かんかんしゅ)です。こちらは皮膚の深部(真皮層)にあるエクリン汗腺の導管組織が増殖した良性腫瘍で、平たい形状の盛り上がりや、複数個が融合して面状に広がる特徴を持ちます。中身を取り出せる構造にはなっておらず、皮膚そのものが盛り上がっている状態です。
また、目のキワやまぶたの縁に現れる白い点については、皮脂を分泌するマイボーム腺の開口部が詰まるマイボーム腺梗塞が疑われます。さらに、血液中の脂質(コレステロール)が局所的に沈着する眼瞼黄色腫(がんけんおうしょくしゅ)など、内科的要因が背景に存在するケースも存在します。
こうした白いできものに対して「目の下の白い塊が痛くない理由」は明確です。細菌感染によって好中球が集まり熱感や膿を伴うニキビ(尋常性痤瘡)や粉瘤の急性炎症期とは異なり、局所の組織増殖や老廃物の滞留にとどまり、神経を刺激する起炎物質が放出されていないためです。