キャバレーのルーツを辿ると、19世紀末のフランス・パリに行き着く。名高い「ムーラン・ルージュ」に代表されるように、当時の前衛芸術家や知識人、労働者たちが集い、政治風刺劇や詩の朗読、刺激的なフレンチカンカンを楽しんだサロンこそが原点だ。芸術と反骨精神、エロティシズムが渾然一体となった表現の実験場だった。
この潮流は1920年代から30年代のドイツ・ワイマール共和国下のベルリンでさらに先鋭化し、独自のダークな魅力を持つサブカルチャーへと昇華する。その退廃的な熱気を見事に映像化したのが、ボブ・フォッシー監督による不朽の映画『キャバレー』だ。主演のライザ・ミネリが披露した挑発的で力強いパフォーマンスは、単なる歌舞劇を超え、不穏な時代を生きる人々の孤独と狂気を強烈に描き出した。現在も世界各地で上演され続けるミュージカルの金字塔として、キャバレーという言葉の持つ芸術的深みを証明し続けている。