日常会話やインターネット上で多用される「Fラン」という言葉ですが、その発祥は2000年度の入試情報において大手予備校・河合塾が導入した分類基準に端を発します。当時、受験生の減少と大学の新設ラッシュが重なったことで、定員割れを起こす私立大学が急増しました。模試の成績上位者から下位者まで志願者の合格率を算出しようとしても、不合格者がほぼ出ないため統計学的に合格可能性50%のボーダーライン(偏差値)を算出できない大学・学部が発生したのです。
河合塾はこの「偏差値が算出不能な枠」に対し、ボーダーフリーを意味する「BF(Border Free)」のランクコードを付与しました。これが本来のFランク大学の定義です。つまり、学力ランクが「A、B、C、D、E、F」の6段階に分かれており、その最下位がFであるという一般の認識は完全な誤解です。文字通り「ボーダー(合否境界線)が存在せず、出願すれば原則として全員が合格できる状態」を指す学力測定上の専門用語でした。
現在でも河合塾の公式入試難易度データでは、合否判定基準が成立しない学部・学科を「BF」と表記しています。これに隣接する偏差値帯として偏差値35未満の大学が存在し、予備校関係者の間ではこれら「BF校および偏差値35未満の極めて合格難易度が低い層」を厳密な意味での低偏差値大学として分類しています。しかし、ネットカルチャーの定着とともに言葉が独り歩きを始め、当初の学術的・統計的な枠組みを大きく逸脱した「学歴差別用語」へと変質していきました。