レシピ通りに作っているつもりでも、「なぜかフニャフニャで噛み切れない」「一瞬で真っ黒に炭化して苦くなる」といったトラブルが後を絶ちません。こうしたカリカリにならない原因と対策を理解するためには、原材料と熱処理の物理現象を知る必要があります。
ベーコンが焦げる理由の最たるものは、火力の強さと調味料の焦げ付きです。市販のベーコンには糖類や発色剤、調味液が含まれており、これらは160℃以上の高温にさらされると急激にカラメル化・炭化します。強火で熱したフライパンに放り込むと、内部の水分が抜ける前に表面の糖分が炭化し、焦げ臭いゴムのような食感になってしまうのです。
一方で、サクサクにならない最大の原因は日本特有のベーコンの水分量にあります。海外の本場ベーコン(乾塩法)に比べ、日本の一般的なスーパーに並ぶ安価なベーコンは、歩留まりを良くするために塩水等を注入した「加水ベーコン」が大半を占めます。
水分を多く含むため、普通に焼くだけでは「蒸し焼き」状態が長く続き、カリカリ化に必要な脂の揚げ焼きフェーズに到達できません。解決策はシンプルで、「とにかく弱火で水分を完全に飛ばし切る」こと、そして「焼き上がり直後は網やペーパーの上で30秒ほど冷ます」ことです。熱い状態では柔らかく感じても、冷気に触れて脂が冷え固まる瞬間に劇的なクリスピー食感が完成します。