スーパーで購入した納豆のパックに記載されているのは「消費期限」ではなく「賞味期限」です。この2つの制度的定義を整理することが、安全性を判断する第一歩となります。
消費者庁のガイドラインにおいて、消費期限は「安全に食べられなくなる期限(おおむね5日以内に品質が急速に劣化する食品)」に設定されるのに対し、賞味期限は「美味しく食べられる品質保持の目安」を指します。納豆メーカー各社は、製造から約10日〜2週間の間に最も風味が優れた状態を保てるよう設定しており、微生物試験や理化学試験の結果に「安全係数(通常0.7〜0.8程度)」を掛け合わせて余裕を持った日付を印字しています。
理論上は期限を過ぎてすぐに健康危害が生じるわけではありません。未開封かつ10℃以下のチルド環境が維持されていた場合、賞味期限切れから数日〜1週間程度であれば、豆の硬化やわずかな風味の変化はあるものの、深刻な有害菌の増殖は見られないケースが一般的です。
しかし、賞味期限切れ1ヶ月の真相となると話は全く別です。後述するように、納豆菌によるタンパク質の分解が過剰に進み、強烈な刺激臭と激しい苦味が発生します。水分が抜けて大豆がパサパサに硬化するだけでなく、パック内部のわずかな隙間から雑菌やカビが侵入・繁殖しているリスクが飛躍的に高まるため、専門家の視座からも喫食は推奨できません。