萩生西太鼓台を一目見た観客が息をのむ最大の要因は、太陽光や夜間照明を受けて黄金色に輝く豪華絢爛な飾り幕です。太鼓台は上から「天幕(太陽を表す赤白幕)」「上幕」「高欄幕」などで構成されますが、萩生西の幕に施された肉彫り金糸刺繍は、他の追随を許さない圧倒的な立体感を誇ります。
幕に描かれる図柄には、武者絵巻や神話の英雄、勇壮な龍虎の闘いなど、幾重にも重なる歴史絵巻が選ばれます。熟練の刺繍職人が絹糸や金糸を幾重にも重ね、綿を入れて数十センチもの立体的な盛り上がりを作り出す技法は、まさに日本の伝統工芸の極致。遠目には巨大な黄金の彫刻に見え、近づけば武将の甲冑の威嚇するような質感や龍の鱗一枚一枚までが精密に表現されていることが分かります。数千万円規模の費用と数年の歳月をかけて新調・修繕されるこの飾り幕こそが、地区の団結と財力の結晶なのです。