Web検索やSNSにおいて頻繁に見受けられるのが、シンガーソングライター・つじあやのの名曲『風になる』との混同です。タイトルが極めて類似しているため、「同じ曲のカバーなのか」「アレンジ違いなのか」という誤解を抱くリスナーが後を絶ちません。しかし、この2曲は音楽的ルーツもメッセージ性も全く異なる独立した傑作です。
つじあやのの『風になる』は2002年にリリースされ、スタジオジブリのアニメーション映画『猫の恩返し』の主題歌として国民的な知名度を誇ります。ウクレレのアコースティックな音色を基調とした、温かく牧歌的なフォークポップであり、「疲れた心を優しく包み込み、自然の風に身を委ねる」ような癒やしを提供します。
対して、[Alexandros]の『風になって』は、エッジの効いたギターロックとダンサブルなドラムパターンが牽引するハイエナジーなオルタナティブロックです。癒やしではなく「現状打破」を、受容ではなく「突進」を促すエネルギーに満ちています。双方がそれぞれの時代背景においてリスナーの心を救ってきた事実を押さえることで、両曲の個性がより鮮明に際立ちます。