読者や視聴者に「コナンの母親」として強烈なトラウマと衝撃を与えた初登場エピソードは、原作コミックス第5巻File.10〜第6巻File.1、TVアニメ第43話「江戸川コナン誘拐事件」です。
毛利探偵事務所のドアを叩いたのは、「江戸川コナンの母」を名乗る恰幅のいい見知らぬ女性、江戸川文代(えどがわ ふみよ)でした。コナンが工藤新一である事実を知るはずのない毛利小五郎や毛利蘭は疑うことなく彼女にコナンを引き渡してしまいます。しかし、車内に連れ込まれたコナンは、彼女が自分の本当の正体(新一)を知っていること、さらには自分を毒殺しようとした「黒ずくめの組織」の関係者らしき男と密談していることを知らされ、絶体絶命の危機に陥ります。
追跡と推理の末、ホテルの一室でコナンが暴いた真相は、予想を根底から覆すものでした。巨漢の悪女・江戸川文代の正体は、阿笠博士手製の特殊メイクで変装した実母・工藤有希子であり、仮面の男の正体は父・工藤優作だったのです。
夫婦がこの大掛かりな狂言誘拐を仕組んだ理由は、小学生の身体に縮んで危険な犯罪組織を追う息子の無謀さに警鐘を鳴らし、安全な海外へ連れ出すための「実力テスト」でした。江戸川文代という偽名は、推理小説の大家である江戸川乱歩とその妻・村山文代から取られた優作の遊び心です。新一の卓越した推理力と危機察知能力を目の当たりにした夫妻は、最終的に彼の日本残留を認め、資金面や情報面から息子を密かに支える覚悟を決めました。