社会心理学および家族社会学の視点から本作を読み解くと、そこには「心理的バウンダリー(境界線)」を巡る成熟度の決定的なギャップが描かれています。
19歳のみるめは、恋愛において自己と他者の境界が未分化であり、ユリと一体化することを望みます。対して39歳のユリは、どれほどみるめを慈しんでいようと、冷徹なまでに「自分の生活」と「恋愛」の境界線を保ち続けます。大人の恋愛における「残酷さ」とは、悪意から生まれるのではなく、「自分の日常を守るために、他者を切り捨てることを厭わない合理性」から生まれます。
これから本作を鑑賞する方、あるいは見返そうとしている方のために、編集部が導き出した判断基準を提示します。
【本作の鑑賞を心からおすすめできる人】
- 言葉にできない曖昧な関係性や、過去の苦い失恋の記憶を抱えている人
- 起承転結の派手さよりも、映像の空気感や役者の微細な表情の変化を味わいたい人
- 永作博美、松山ケンイチ、蒼井優という日本最高峰の俳優たちのキャリア屈指の芝居を観たい人
【鑑賞に際して慎重になるべき人】
- 不倫や不貞行為に対して強い生理的嫌悪感や道徳的潔癖さを求める人
- テンポの速いプロット重視のエンタメ作品や、明確なカタルシス・事件解決を好む人