ネット上には「ランドセル 寄付 無料」を謳うサイトが散見されますが、ランドセル寄付完全無料の真相を検証すると、送料・関税・現地配給費用のどこかを誰かが負担しなければ成立しないという冷徹な現実に直面します。「送料無料」と表記されていても、実態は不用品回収業者の集客用撒き餌であり、状態の良いものだけが国内フリマアプリで転売され、傷んだものは産業廃棄物として処分される事例も報告されています。
さらに深刻なのが、善意で送られたランドセルが現地で受け入れを拒否される、いわゆるランドセル迷惑と言われる経緯です。国際協力の現場取材において、長年教育支援に携わるスタッフは次のような生々しい実情を明かしています。
「日本のランドセルは非常に頑丈ですが、6年間使い倒して表面のポリウレタンが加水分解し、粉を吹いた状態のものを送ってくるケースが後を絶ちません。また、豚革が使用された製品は、宗教的戒律(ハラール)の観点からイスラム圏では一切配布できず、現地で破棄せざるを得ないのです」
代表的な支援先であるランドセル海外支援アフガニスタンでは、タリバン政権下で女子教育の制限が続く中、通学用カバンが学校へ通うための貴重なパスポートとして機能しています。しかし、過酷な砂漠気候や長距離の徒歩通学に耐えられないボロボロのランドセルは、現地スタッフにとって処分費用ばかりがかさむ「善意のゴミ」と化してしまいます。正しい支援とは、使わなくなった不用品をただ手放すことではなく、相手国の文化・気候・耐久性を満たした品物と、それを届けるための適正な輸送費をセットで差し出す行為であることを認識しなければなりません。