ディズニーキャラクターの仮装において、エルサの放つアイシーブルーの魔法ドレスと人気を二分しながらも、長年「着る人の満足度」において極めて高い評価を維持しているのがアナの戴冠式ドレスです。なぜこれほどまでに多くのファンが、この緑のドレスに心を奪われ続けるのでしょうか。
衣装デザインの歴史を紐解くと、このドレスは19世紀初頭のノルウェーの民族衣装「ブーナッド」と、ヨーロッパの伝統的な宮廷宮殿様式が見事に融合した傑作です。重厚なブラックベルベットのビスチェには、アレンデール王家の象徴であるクロッカスの花や有機的な植物文様が金糸を交えて刺繍されており、スカンジナビアの伝統工芸「ローズマリング」がふんだんに取り入れられています。深みのあるフォレストグリーンとオリーブグリーンのストライプで構成されたボックスプリーツスカートは、動くたびに内側の鮮やかなマスタードやエメラルドの色合いをのぞかせ、歩くだけで映画のワンシーンのようなドラマチックな余韻を残します。
さらに見逃せないのが、着用者の心理に強く訴えかけるストーリー性です。劇中歌『生まれてはじめて(For the First Time in Forever)』のミュージカルナンバーにおいて、長年閉ざされていた城の門が開き、「今日だけは自由になれる、誰かと出会えるかもしれない」と胸を躍らせて歌い踊るアナの感情の頂点が、このドレスに凝縮されています。取材に応じた長年のDハロ参加者は、その心情を次のように語ります。
「エルサのドレスは圧倒的な神秘性や孤高の美しさがありますが、アナの戴冠式ドレスには『希望に満ちて扉を開く瞬間』の躍動感があります。パークのエントランスをくぐるとき、自分自身がアレンデールの開かれた門をくぐるような強い高揚感を味わえるのです」
親しみやすい快活さと、王室の王女としての気品という相反する要素が、計算し尽くされたカラーパレットとシルエットによって見事に調和している点こそ、熱狂が途絶えない最大の要因と言えます。