一般のアンケート調査やクイズ番組でも正答率が低迷しやすいトルコの首都問題。なぜこれほどまでに多くの人がイスタンブールを首都だと錯覚してしまうのでしょうか。取材班が現地情報や教育現場のデータを精査したところ、3つの心理的・構造的な要因が浮かび上がってきました。
第1の要因は、圧倒的な「人口規模と経済力」の格差です。イスタンブールの人口は約1,570万人(トルコ統計局:TÜİK最新データ)に達し、欧州・中東圏でも屈指の巨大過密都市となっています。これに対し、第2の都市である首都アンカラの人口は約580万人。経済規模においてもイスタンブール単体でトルコ全体のGDPの3割以上を叩き出しており、メディア露出の絶対量がイスタンブールに偏ることが最大の誤解源となっています。
第2の要因は、「世界史の主役としての歴史的知名度」です。ビザンツ帝国の首都コンスタンティノープルとして1000年、さらにオスマン帝国の帝都として約470年君臨したイスタンブールは、世界遺産アヤソフィアやブルーモスクを擁する世界最高峰の観光都市です。歴史の教科書に刻まれた強烈な記憶が、「大国トルコの中心=イスタンブール」という先入観を無意識に植え付けています。
第3の要因は、国際交通のハブ機能です。トルコのフラッグキャリアであるターキッシュ エアラインズのメインハブは巨大なイスタンブール空港(IST)であり、日本からの直行便もすべてイスタンブールへ乗り入れています。アンカラへ向かう国際線はヨーロッパや中東の特定路線に限られるため、渡航者の実体験としても「トルコの玄関口=イスタンブール」という刷り込みが生じやすくなっています。