再建されたとはいえ、現存する法隆寺の西院伽藍(金堂・五重塔など)はおよそ1300年以上の歴史を刻む現存する世界最古の木造建築群です。地震大国・日本でなぜこれほど長期間にわたって倒壊せず、優美な姿を保ち続けられたのでしょうか。
その理由は、素材の卓越性と飛鳥時代の大工たちの超絶技巧にあります。
主要構造部に使われているのは、極めて耐久性の高い良質なヒノキ(檜)です。ヒノキは伐採後200〜300年かけて強度が増し、その後1000年をかけて徐々に元の強度に戻るという特異な性質を持ちます。法隆寺の宮大工たちは木材の持つ「癖」や「ねじれ」を見抜き、樹齢1000年以上の大木を惜しみなく適材適所に配しました。
さらに、法隆寺の建立には百済から渡来した技術者集団が深く関わっており、聖徳太子の命を受けて四天王寺や法隆寺の建立に携わった技術集団の中から、世界最古の現存企業として名高い「金剛組」が誕生したと伝えられています。五重塔に見られる「心柱が初層から独立して吊り下げられている柔構造」は、現代の超高層タワー(東京スカイツリーなど)の免震設計にも応用されるほど画期的な免震メカニズムでした。