一条ゆかりの足跡を振り返ると、少女漫画の常識を覆し続けた開拓者の姿が浮き彫りになります。1970年代の『デザイナー』ではファッション業界の熾烈な野心と愛憎を描き、少女誌に大人のリアルなサクセスストーリーを持ち込みました。続く『砂の城』では、フランスを舞台に血縁や世代を超えた狂おしい情念と宿命の恋を描ききり、読者に圧倒的な心理的カタルシスを与えました。
そして1981年に連載が始まった『有閑倶楽部』は、彼女のキャリアを決定づけた不滅の金字塔です。超セレブな高校生6人組が難事件を痛快に解決するアクションコメディであり、緻密なプロットと華麗な作画、突き抜けたユーモアの融合は、第10回講談社漫画賞少女部門を受賞するなど、男女・世代を問わない社会現象となりました。さらに2000年代の『プライド』では、ステータスを奪われた令嬢と貧困から這い上がる苦学生が、オペラを通じて魂をぶつけ合う圧巻の人間ドラマを描き、平成19年度文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞に輝いています。