サードウェーブコーヒーから始まったコールドブリューの波は、今や完全に日本茶・飲料産業の構造をも変えつつある。ペットボトル緑茶の手軽さに慣れきっていた都市部の若者たちが、急須や専用フィルターを買い求め、自宅のキッチンで一晩かけて茶を抽出する姿は、もはや珍しい光景ではない。
ミシュランの星付きレストランでも、アルコールペアリングに代わる「ノンアルコール・ティーペアリング」の主役として、氷出しの高級煎茶や玉露がワイングラスで供されるケースが急増している。熱を加えないことで揮発せずに保たれる瑞々しい青葉の香り、そして舌を包み込むアミノ酸の厚みは、複雑なフレンチやイノベーティブ料理の油分や酸味と完璧に調和する。日本の伝統産業は、氷の雫を介して世界のガストロノミーと結びついた。