「錦之助」という名跡を語る上で欠かせないのが、昭和の映画界の頂点に君臨した初代萬屋錦之介(旧芸名:中村錦之助)の存在です。映画『宮本武蔵』シリーズや『子連れ狼』、テレビ時代劇『破れ傘刀舟悪人狩り』などで国民的大スターとなった初代は、二代目錦之助にとって実の「叔父」にあたります。
初代萬屋錦之介が1997年に他界した後、偉大すぎる名跡「中村錦之助」の行方が注目されていました。その重責を担う形で、2007年4月に歌舞伎座において二代目中村錦之助を襲名したのが、当時の二代目中村信二郎(現在の錦之助)です。
大スターの叔父が築き上げた名跡を継ぐプレッシャーは計り知れないものでしたが、二代目錦之助は誠実な舞台作法と端正な芸風で独自の境地を開拓。初代のダイナミックなカリスマ性を継承しつつ、現代の歌舞伎舞台に不可欠な実力派役者としての確固たる地位を築き上げました。