文部科学省の小学校学習指導要領において、5年生で習う漢字は全部で193字と定められています。4年生の202字と比較すると文字数自体はわずかに減少しているものの、テストの平均点が大幅に落ち込む現象が起きています。取材に応じた公立小学校の現役教諭は、「4年生までは『目で見える具体物』を表す漢字が多かったのに対し、5年生からは『目に見えない概念や社会の仕組み』を表す漢字が一気に押し寄せる」と現場の実感を語ります。
実際に漢字テストで点数が取れない理由を多角的に分析すると、子どもたちの発達段階とテスト形式の間に生じる3つの断絶が浮き彫りになります。
第1に、語彙の抽象化です。「統」「律」「質」「態」「職」といった漢字は、言葉自体の意味を生活体験の中で実感しにくく、丸暗記に頼らざるを得ない状況を生みます。第2に、同音異義語の罠です。「コウセイな判断(公正)」と「文章のコウセイ(校正・構成)」、「カンシンを持つ(関心)」と「カンシンな態度(感心)」のように、文脈を精緻に読み解かなければ適切な漢字を当てはめられない問題が増加します。そして第3が、1学期という時期特有の学習ペースの乱れです。最高学年を意識した委員会活動や高学年特有の教科担任制導入など環境変化の負荷がかかる中で、基礎反復の時間を削られてしまうケースが目立ちます。