植物学において「卯の花」という固有の標準和名を持つ独立した品種は存在しません。一般に卯の花と呼ばれているのは、日本各地の山野や林縁、道端に広く自生するアジサイ科ウツギ属の落葉低木「ウツギ(空木・卯木)」の花そのものを指します。かつてはユキノシタ科に分類されていましたが、近年の分子系統分類(APG分類体系)によってアジサイ科に位置づけられています。 ウツギの樹高はおよそ2〜4メートルほどに成長し、初夏の5月から6月にかけて、枝先に円錐花序と呼ばれる房状の花姿を形成します。花びらは5枚で、清楚な純白色。花の中央部には黄色い葯(やく)を持つ10本の雄しべが並び、花弁の白とのコントラストが初夏の木漏れ日の中でひときわ映えます。 幹や枝を折ると、中心部がストローのように中空(パイプ状の空洞)になっていることから、「空ろな木(うつろなき)」が転じて「ウツギ(空木)」と命名されました。古くは万葉集にも数多くの歌が残されており、古来日本人が季節の移ろいを感じ取る指標として愛でてきた代表的な花木です。 また、旧暦4月を指す「卯月(うづき)」の語源についても、この「卯の花が咲く月(卯の花月)」が省略されて卯月になったという説が言語学・民俗学において極めて有力視されています。新暦に換算すると現在の5月上旬から6月上旬にあたり、まさにウツギが純白の花冠を一斉に開かせる時期と完全に重なります。
卯の花とはどんな花?ウツギとの違いやおからの由来まで徹底解説
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