アウトドアの現場や釣り場において、針にかかったすっぽん針を外そうとして指を噛まれる事故は後を絶ちません。現場でパニックに陥った人間が最もやってしまいがちな誤りが「力任せに引っ張る」「棒で頭を叩く」という行為です。
噛まれた時の対処法の真相を知る専門家や養殖業者は、絶対に無理な牽引を行いません。すっぽんは引っ張られれば引っ張られるほど、獲物が逃げようとしていると認識して顎の筋肉を一層硬直させます。鋭い顎の縁が肉に食い込んだ状態で引っ張れば、傷口が裂傷となり神経損傷を招く危険性が跳ね上がります。
唯一にして最善の解決策は、「噛まれた部位ごと水の中に静かに沈める」ことです。
バケツの水、あるいは川や池の浅瀬に体ごと浸けると、すっぽんは「水中に戻れた=逃走できる安全な環境になった」と判断します。自らの身を守るために素早く口を開け、泥底や深みへと泳ぎ去ろうとします。足場のない陸地で水場が近くにない場合は、地面に静かに置き、体勢を安定させて刺激を与えずに待つと、数十秒から数分で自然と顎の力を緩めます。現場での冷静な判断が、指の腱や皮膚を守る分水嶺となります。