インターネット検索やSNSで「コーンフラワー」と入力した際、料理用トウモロコシ粉の解説と、鮮やかな青い花の画像が入り乱れて表示される現象に違和感を抱いた方も多いはずです。この混乱が生じる最大の理由は、英語のスペリングと発音における偶然の一致にあります。
食品としてのコーンフラワーは、とうもろこしの実を丸ごと、あるいは胚乳部分を微粉末に粉砕した穀物粉(Corn flour)を指します。一方、植物としてのコーンフラワーは、ヨーロッパの麦畑(cornfield)に群生して咲いていたことからその名がついたキク科の矢車菊(Cornflower)を意味します。スペルこそハイフンやスペースの有無があるものの、カタカナ表記に変換した段階で完全に同音同表記となってしまうことが、多くの人を悩ませる元凶となっています。
さらに事態を複雑にしているのが、イギリス英語とアメリカ英語における語義のねじれです。アメリカにおいてCorn flourはとうもろこし粉全般を指しますが、イギリスやオーストラリアなどの英連邦諸国では、日本でいう「コーンスターチ(でんぷん)」のことをCornflourと呼ぶ習慣が根強く残っています。海外レシピを翻訳して調理する際、この地域差を把握していないと、生地がまったく固まらなかったり、意図しないドロドロの塊になったりする失敗を引き起こします。